課長・島耕作

課長島耕作 (1)  新装版

課長島耕作 (1)  新装版

漫画喫茶で読み返してみました…。専務編や取締役編になると、話のスケールが大きすぎるので、やっぱり課長編の、それも初期のころが一番面白い気がします。自分が会社勤めをするようになってから読むと、会社組織の中には色んな折衝があるのだなぁ…という気持ちが湧いてきて、より楽しめるような。

一番好きなのは大町久美子絡みのエピソードかな…。気が強くて聡明で、20歳年下の、島耕作の「永遠の恋人」です。互いに(島は途中で離婚したので)独身だけれども結婚を意識せず、その関係について久美子は「永遠の恋人。結婚を前提としないまじめなお付き合い」と述べるのだけれど、これは中々うまいことを言うなぁ…と思いました。あっけらかんとしてて、物分りのいい典子も大好きなキャラクターなのだけれど、やっぱり久美子と島耕作の関係がなんだか切なくて…。

もちろん漫画なのでいやいやこれはありえない…と思うようなエピソードもあります。何度左遷されても本社に戻る生命力もそのひとつだし、特に島耕作の女遍歴!課長編だけで実に11人の女性と関係を持っています。ただ、そういうのを抜きにしても、会社にいる色んな人間の描写には、本当にびっくりさせられる…。男は外に出ると七人の敵がいるなんていうけれど、初芝電機産業も例に漏れず魑魅魍魎揃い…。
ショールーム課のセクハラ今野の描き方なんて、思わずこちらがキーーッとなるぐらいの厭らしさです。大町久美子の目の前にエロ本を突き出して、久美子が睨むと、「最近の若い女はこんなもんじゃ動揺せんかww」とのたまう、旧式のセクハラおやじ…小物っぽさ溢れるエピソードです。コンプラコンプラ言われている昨今、こういうひとってまだ世の中に生存しているものなのでしょうか?
こないだ、同じ班の年長の男性がふざけてわたしをからかったとき、女性の先輩が「aprilfoolさん、最近Sさんのおもちゃにされてますね。まさにおとなのおもちゃ!!」と発言し、周りもわたしも笑ってしまったのだけれど、当事者のSさんは苦笑いで、「それはやばいよ。今は色々うるさいからね」と言っていたのです。これだけ気をつけている人が多い中、今野の繰り出す諸々のセクハラ行動はちょっと時代遅れなような気もしますが、昔は実際にあったことなんだろうな。
うちの会社も、不祥事があって世間に大きく叩かれる以前は、色々凄かったみたいで、社内旅行で新入社員が浴衣でおじさんの膝に乗せられて、胸を触られるぐらいは茶飯事だったようです。


やっぱり会社にも『島耕作』シリーズの愛読者は多くて、支店長もそのひとりです。こないだ、話を振ってみたら、「あれは、モテすぎで、ずるいよなぁー!」と言ってた…。

初芝のモデルは、名前からずっと東芝なのだと思い込んでいたけれど、今読んでみると、旧松下を想起させるエピソードが多いですね…。創業者の吉原は、風貌やカリスマ性が松下幸之助を彷彿とさせるし、コスモスの買収の件はどうみてもユニバーサルスタジオ…。HATSUSHIBA、MATSUSHITA、という表記や、音のイメージも何となく似通っているし。