ブルータスの心臓/東野圭吾

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)

「あなたの子を妊娠したかも」と同じ女に強請られる三人の男が、共謀して女を殺そうとするが、そこに他の作為が混じってきて…という話。今回のキーである康子のファム・ファタールっぷりの恐ろしさがまず目につくけど、わたしには弓絵のほうが恐い女に思えたよ、、、。

さすがに東野圭吾作品なので、破綻がなく安心して最後まで読めます。ただ、緻密な計算に計算を重ねて「つくられた」話、という感じがして、確かに伏線の張り方もその回収もとてもきれいなのだけれど、どこか人間味がないというか、淡白な印象を受ける話です。ここまで伏線張りまくることないのにな〜と。

東野圭吾の男主人公で、こういう「昔の環境を脱出したい」「なりあがりたい」という野心を持ったタイプというのは、どうも感情移入ができません…。今回の主人公は冷徹なロボットオタクの設定ですがどうも好きになれなかった。