MW(ムウ)/手塚治虫

MW(ムウ) (1) (小学館文庫)

MW(ムウ) (1) (小学館文庫)

MW(ムウ) (2) (小学館文庫)

MW(ムウ) (2) (小学館文庫)


女性と見紛う程の美青年・美知男の妙な魅力に思わず惹かれてしまいました……腐女子的な観点だけでなく。男とも女ともつかない、知的な、不思議な生き物が悪に手を染めていく様は、悪い事をしているとは解りつつも、気がつけば応援してしまうような何かがあります。
人殺しや破壊行動に全く良心の呵責を感じない美知男はサイコパスとして描かれているけれど、ピカレスクに於いて、エンディングで主人公に後悔なんかされては、読み手としてはたまったものじゃないので、これで良かったな…。どこか『銭ゲバ』の蒲郡風太郎と重なるところがあります。でも、当時は超問題作だったのかもしれないけれど、今は現実でも色んな事件が溢れているし、それほどショッキングな内容でもない気がしました。戦争が背景に描かれているのは、戦争体験者の手塚治虫ならではなのでしょうが、…というかそちらのメッセージのほうが強く感じられる作品でした。

それにしても美知男………。犯罪行為のために女装するのは致し方ないとして……。賀来神父に「きみはぼくをよく可愛いって言ってくれたろ?」と言って、「誰にも渡さないよ…ぼくを抱いて!」と言ってパンツ姿で抱きついたりするんですが……これ、映画ではどう処理するんだろう??一応、美青年美知男=玉木宏、ガチムチ神父=山田孝之 になるんだけども……。二人のゲイ(それともバイなのかな)設定はそのまま引き継がれるのかしら……両者のファンからは阿鼻叫喚なのか喜びなのか色んな声が聞こえてきそうですが…。

あと、映画では二人の名前が、美知男=美智雄、巌=祐太郎…に変更されています。巌、は今の感覚だと古すぎるから、変更も致し方ないと思うけれど、美智雄に関してはなぜ??検索でややこしくなるし、特別な理由がないならこういうことはやめてほしいものです。