東京アリス 一巻

大好きな『クローバー』を描いた人の作品!気になっていたのですがどこのマンガ喫茶にもなくて…とうとう買ってしまいました。

最近の女の子の風俗をわりとリアルに描いているおしゃれ漫画。同じおしゃれ漫画でも、『NANA』あたりは、そのお給料でどうやってそんなに服を買えるの?とか、素朴な疑問が浮かんでしまってリアリティがない。『クローバー』のときも思ったけれど、本当に普通のOLの姿を描いているので、地に足が着いてる感じでいいなあ…。シャネルのカンボンライン(わたしは初めて知ったけど)とか、ケイト・スペードのカゴバッグ(これはわたしも欲しい…)とか、作者はよく雑誌を読んでいるんだなぁ、という印象。

しかしこういう風に実在のブランドやら流行やらを取り入れてしまうと、十年後二十年後にきついんじゃないかな、という懸念が浮かぶ。「イタズラなkiss」の琴子が入江君に選んだ服とか、今思えばとんでもないセンスだもん。でも、あれは服飾メインの話ではないから、「うわー古い!」で済ませてしまうんだけど、東京アリスは…どうだろう…。「のだめカンタービレ」ののだめは、わりとベーシックな、トラッドな格好をしているから、あれは後々でも大丈夫だろうな、とは思うんだけど…。(でも、二十歳過ぎた女が、ピアノ柄の手提げはどうかな…と思ったりする)

稚野鳥子の漫画に出てくる男の人は、確かに女の子の理想ではありつつ、男の嫌な部分とか、どうしてそれがわからないんだろう?という部分もきちんと描いてるから好きだ。『クローバー』の柘植さんが、彼女には必ずティファニーを買っていたように、今回の奥薗さんも、彼女(候補)にはカンボンラインを買う男……。勿論それに気づいた主人公は怒ったり複雑な心境になったりするんだけど、でも、柘植さんも奥薗さんも別に悪意があるわけじゃなくて、『クローバー』の一葉が言うように「一度彼女が喜んでくれると、それでいいって思っちゃうんだよ。悪意はないんだよ」(うろ覚え)…なんでしょうね。
でも女にしたら納得いかない…その微妙な齟齬をうまーーく描いているとおもう。

主人公含む四人組が卒業したお嬢さま中学校は、『クローバー』のあゆこの出身校と一緒でしょうか?聖ルチーナだっけ…覚えていないけれど制服が一緒のような気がする。