アイシテル〜海容〜 後編

アイシテル?海容 後編

アイシテル?海容 後編

号泣の後編です…。レディコミ調の絵柄が気にならないほど。智也の回想シーンはすごくよく出来ていると思う。人間が感情を爆発させるときを描くのがうまい人です。

美帆子が再度、弟へのコンプレックスを吐露するところが生々しかった。わざと母親の琴線に触れるようなことを言って怒らせて、「なんていやな子なの。お前のほうが…、(死んだらよかったのに)」という言葉をうっかり引き出してしまう。「死んだらよかったのに?ほら、本音が出た」と家を飛び出す美帆子。なんでそんなに、自分を傷つけるようなことを、わざわざするのでしょうね…。ほんとに聖子が、死んだのが美帆子だったらよかったのに、なんて思うはずないし(きっとそういうことは考えられないとおもう)、冷静なときにそんなことを言うはずもないんだけど……。勢いで、わざとそういうことを言わせるように仕向けて、それで傷ついて、親も傷つけて、本当に思春期って…と思いました。
でも最後はそんな美帆子にもカタルシスがあってよかったよ…。救いは、美帆子に恋人ができることでも結婚することでもなんでもなくて、あの「育児日記」なんだろうな。本当に些細なことでもいいんです。自分が愛されているという確固たる証拠があれば。

それにしてもキヨタンの、愛されている者特有の奢りみたいなものには、確かにイラっとさせられることもあるなあ…いや、小学校一年生だから仕方ないんだけど。

思い通りにいかない美帆子の存在によって、自分が決していい母親ではなかったことを聖子が知る、という構図は、思いつくようで思いつかない。最後は、意外にも中々綺麗な纏め方になっていたと思います。重すぎる話だけれど、読んで良かったな。