ラーメンズ公演 『TOWER』

元同期のトモコがラーメンズのファンで、今回公演に誘って貰いました。何本かDVDを貸して貰って予習はしていたのだけれど、実際の公演(ライブ、というのだろうか?)は本当に素晴らしかった!

しかし、ラーメンズ という二人組のことを、どういう風に説明したらいいのかよくわからない…

お笑い、ではないと思う。よくテレビで、変な顔とか変な言動をして人を笑わせるようなのがあるけれど、そういうのでは決して、ない。ラーメンズの二人は、自身の芸を「コント」と称しているようだけれど、わたしはコントと聞くと無条件で志村けんの顔が浮かんでしまうので、あんまりこの言葉も使いたくない。

敢えていうなら…なんだろう、演劇、とか、芝居、になるんだろうか…。間違ってもお笑い、ではないと思う。お笑いというものが低質であるとは決して言わないけれども、ラーメンズの舞台の笑いはとても良質で、TVで大量消費されるようなものではない、と思う。



今回の『TOWER』は、ラーメンズ初心者のわたしにもとっても解り易くて、単純に楽しめたのだけれど、トモコ曰く、他のものは、アカデミックだったり何かのパロディだったりで、難解だったりするらしい…。

しかし「ライブ」というものの緊張感はすごい!と思った。真っ暗な舞台に突如照明がついて、二人の姿が浮かび上がったときの空気の張り詰め方とか、二人の呼吸、タイミング、他の観客との一体感とか、携帯電話の音が鳴ったときの苛立ちとかは、DVDでは味わえないし、わからないな…と思う。



モノトーンの単純な舞台装置の上で、シンプルな衣装の(時々シンプルじゃなかったりするけど)二人が、本当にちょっとした小道具を使って、様々なテーマに沿って芝居をするのだけれど、何編かに分かれた舞台が、最後の章で見事に「TOWER」の表題通りに収斂していくのがすごい。小道具の効果的な使い方も見事!今回は、特に言語感覚の相違による面白さ、みたいなものが強調されている話が多かったように思う。物事を、二人の人間が同じ尺度で受け取ることのなんと難しいことか。

舞台装置が簡素であるからこそ、パントマイムが生きるのであって、特に二人のパントマイムは、本当に、そこにないものがあるかのようにみえる…。手先、足先の演技もすごい。とにかく舞台全体が、装置もそうだし演技もそうだけれど緻密に纏め上げられていて、これはもう、芸術だなぁとか、小林賢太郎って天才なんじゃなかろうか…とか、考えたりしました。これは、クセになる!



それにしても最後のピアノのメロディが切なかったな。