告白/湊かなえ

[rakuten:book:13021744:detail]

本屋大賞一位ということで、ずっと読みたいな〜と思っていたのだけれど、ハードカバーだし値段も張るのでなんとなく手が出なかった本です。母親が職場においてあったものを借りてきてくれたので、今日一気に読みました。

感想は…うーん。いや、面白いし一気に読めたんですが…どことなく薄い感じがしました。細かいところを指摘すればキリがないですが、ミステリとしての緻密さはなくてどこかバーチャル。サスペンスとしては面白いなーと思いました。ジャンルとしては…倒叙モノといえるのかなぁ…。

一話、二話はすごく面白くて、特に一話が秀逸。これだけで本を出してもいいぐらいなのに!って思ったら、三話までは雑誌に読みきり形式で掲載されてたんですね。その後は書き下ろしなんですが、正直書き下ろし部分は蛇足に思えました。

登場人物は皆自分のことしか考えていなくて、一応「愛するもののために」とは銘打っているけれど、結局他人を慮ったりはしていません。全員が全員そうなので、すべてが一方通行で、すごい違和感を感じました。これは敢えて演出された違和感なのでしょうか。

ウェルテル(単細胞系熱血教師)の一方通行ぶりも、ステロタイプなキャラクターなんだけど、面白かった。

あとは…直樹の母親の、盲目的なまでの息子への愛と、全てを息子と自分にとって都合のいいように解釈する姿勢にぞっとしました。偏見かもしれないけれど、男の子の母親のほうが、どちらかといえば、こういう傾向があるのかもしれないな、とも思いました。いやほんとに偏見なんですが…。わたしには弟がいるんですが、うちの母は「やっぱり、男の子は、単純に可愛い」といいます。イコールわたしのことが好きじゃない、という意味ではないと思うんですが、女の子って小さいときからやっぱり「女」であって、単純な可愛さの面ではやっぱり男の子にはかなわないんだそうです。そして、男の子は母親のことを、基本的にはそんなに批判をしなくて、一途に慕ってくれるのだそうな…ほんとかな。