儀式

うちの会社は体育会系気質だけあって上下関係も厳しく、雑用は殆ど新人の仕事なのだけれど、
その中に社内限資料をシュレッダーにかけること、があります。
定時で終わると、課内のゴミ箱を全部集めて、膨大な書類をシュレッダーするのだけれど、ちょっと集めるのが遅いと、先輩が先に自分のものをシュレッダーし始めたりなんかして…。
で、「あっ すみません!かわります!」と、青ざめた芝居なんかをして、ゴミ箱を奪おうとするのだけれど、「いや、いいよ。もうすぐ終わるし」とか言われてしまう。で、それを更に食い下がり、「いえ、でもかわります!」と言って、半ば無理やりゴミ箱をゲットする、と…。

入社したばかりの頃、「いいよ」と言われたのでアッサリ引き下がったら、他の先輩に、「こういうのは、三回ぐらいは言わないとだめだよ」と注意されたことがありました。
THE・日本人。
いやはや…。
その点、1つ上の先輩は、心得たもので、かわります発言をするとアッサリゴミ箱を渡してくれるのです。

ゴミ箱に限らず、何か回覧の書類を先輩が配ってるときとか、勉強会が終わってホワイトボードを消すときとか、何かとこの「かわります」「いやいいよ」の応酬が繰り返されています。最後にはかわるんだったら最初から渡せばいいのに、と思うんだけど、なんていうか…儀式みたいなものなのかな…。

どこの職場でも、後輩が雑用をするのは普通だし、わたしもそれが当たり前だとは思うんだけど、それにしても…。大御所の先輩がゴミ箱を持ち出そうものなら、その先輩以下の年次の人間が全員連なって「すみません…」だの「かわります」だの言い合って、「なんてダメなわたし」みたいな顔をして、平謝りしてるのです!ほんとうにこんなの時間の無駄だよなーと思うんだけど、でも、このおかげで社内の人間関係が円滑にいってるところもあるんだろうな…。

儀式といえば最近同期の間での「女子の儀式」みたいなものも面倒になってきた。

最近太ってきたー、とか言い出した人に、太ってないよだの、わからないよ、だのフォローをしたり、
それもたまにならいいけど、毎日毎日言うものだから疲れてきて、そんなに気になるなら改善に向けて行動すれば、といいたくなってしまう、けど、いわない…
あとは、丸顔でやだーとかいってる人に、「そんなことないよ、丸顔のほうが愛されるんだよ」とかフォローしたりするのも面倒だ。いや、一回や二回ならいいんだけど。

困るのは、女の子のそういう外見コンプレックス発言を、「そうなんだ」とか流そうものなら、あの子は自分に自信があるとか、自分のことを可愛いと思っているとか、そういう言われ方をしてしまうケースがあることだ…。
人間、本当に気にしていることは口に出せないもので…。わたしも、本当に触れて欲しくないことは、話題になるのもつらいから絶対その話はしない。でもそんなこと、きっとわかってもらえないんだろうな。


Q「丸顔でほんといやなんだよねー」
A○「ええ〜そんなことないじゃん丸顔のほうが可愛いよ!」
A×「いや、気にすることないよ〜」

Q「最近太ったーやばいーどうしよう」
A○「ええ〜全然太ってないじゃん!わたしのほうがホラ」
A×「じゃー明日のお昼うどんにする?」


なんというか…これも儀式の一種なんだろうけれど、否定してもらうことを前提とした発言というのが面倒で、こういうのってあまり男の人はしないので、女の子特有の何かなんだろうなーと思ってしまいます。それでも誰かに否定して貰うことで安心するなら、力になるけど…。こういう、自分のコンプを曝け出してそれを否定しあって…というのもコミュニケーションの一種なんだろうな。それこそ慣れてる友人間では、そんなことしないし、するとしても本当に心から客観的な意見を聞きたいときだけなんだけど…殆ど初対面に近い人間とか、まだ距離がある人間間ではよくそんなことが行われていて、とっても、つまらないし、面倒だな、と思ってしまいます。